こそ泥カブキ
カブキは、六歳になる去勢済みのブルータビ―のメインクーンで、我が家のよきペットです。
結婚して今の家を買ってすぐに、まだ子猫だったカブキを家族の一員として迎えました。夫のダンも私も、メインクーンははじめてだったので、カブキのおもしろいしぐさをみて楽しんだものです。
当時、寝る前にポケットの中身をあけて、小銭や紙幣やカギなどを寝室の化粧台の上に置くのが二人の習慣でした。
ところが、朝になるといつも1−2ドルの小銭がなくなっているのです。小銭が足りないなら一言「借りるよ」といってくれればいいのに、どうしてダンが黙ってお金をもっていくのかと不満に思っていたのですが、なにぶん結婚したばかりでささいなことに波風を立てたくなかったので、黙っていました。(あとでわかったことですが、ダンもどうして私が勝手にお金を借りていくのだろうと思いつつも、やっぱり新婚当初で言いかねていたのです!)
ある晩、化粧台の前で髪を乾かしているときのことでした。
猫の手がさっと1ドル札をひったくっていくのが、目の隅にとまったのです。ビックリして下をみると、ちょうどお札を口にくわえたカブキと目が合いました。
あわててお札を取り戻そうとすると、カブキはシャーといって、ベッドの下に隠れてしまいました。
ベッドの下からは、ジャラジャ ラいう音と、カブキが何かを埋めているような音が聞こえてきます。
ほうきと懐中電灯を持ちだしてきて、ようやく何が起こっているのかつきとめました。
カブキはベッドの下に、87ドルとソックス1つを貯めこんでいたのです。
脱出の女王“モンスーン”
うちのショータイプのメインクーン“CH Mysterymain's Monsoon of Stormwatch”は、かくれんぼが大好きです。とくに、人間の都合が悪いときにかくれるのが好きなのです(でも、食事時にいなくなることはありません)。
モンスーンをショーに出していた頃は、朝ホテルの部屋で、ベッドの下やマットレスの台の中から何度モンスーンを引っ張りだしたか数え切れません。ある時など、2時間がかりでルームサービスの手助けまで借りて、やっ
とベッドを逆さにしてモンスーンを下から引き出したと思ったら、すぐさま隣のベッドの下に隠れられてしまったこともありました(ツインの部屋でした)。
結局、もう1つのベッドも逆さにしなければならなかったのです。
というわけで、モンスーンのかくれんぼの技はほとんど読めるようになったと思っていたのです。
しかし、モンスーンは困ったことに私を出し抜くのが大好きで、いつも新しい技を考えつくのです。
ある週末、モンスーンと2頭の子猫をショーに連れていったときのことです。
ホテルの部屋のベッド周辺は完璧にチェックし、ベッドが壁にしっかりくぎ付けになっていることと、マットレス台の中に入る隙間がないことを確認しました。
ところが、夕食に出かけて帰ってくると、モンスーンも子猫もどこにもいないのです。一時間かけて、ベッドの下にもぐりこむような入り口を探しましたが、どこにもありません。
どこからか、かすかに猫の鳴 き声が聞こえたのですが、どこにも姿がみあたりません。
真夜中になって、とうとうフロ ントに電話をして助けを呼んでもらいました。
やってきた二人の便利屋さんに、かくれんぼ癖のある猫をさがして欲しいと言うと、口には出さないものの私のことを「猫きちがいのおばさん」と呆れていることがありありとわかりました。
とにかく、ベッドを壁から とりはずし、ベッドをばらばらに分解して、カバーを取り払って、マットレス台をこじあけたところ。。。猫がいないのです!
絶対ベッドの中にいるものと思っていたので、急に心配になって青くなりました。
そこで、3人で部屋中をさがしてまわり、壁ぎわの化粧台を動かし、洗面所のパイプと壁の間に隙間がないかさがし、壁紙を上から押さえて隙間や穴がないかをチェックし、窓も確認しましたが、猫はどこにもいません。
もう、私はパニッ クになって半泣きの状態でした。
便利屋さんたちもさすがに心配顔になってきました。
ホテルのフロントやあらゆるところに電話して、部屋に入った人がいないか聞いてまわりましたが、誰も猫を見た人はいません。
とうとう2時をまわったところで、便利屋さんが、念のために近くの動物保護所に電話をして猫が保護されていないか聞いてみてはどうかと言いました。
他にどうしようもなかったので、電話帳で番号をさがそうと、ベッド脇のスタンドのひきだしをあけたところ、なんとモンスーンと子猫が涼しい顔でひきだしの中に座っているではないですか!
どうやら、猫たちがひきだしの中に入り込み、体重で自然にひきだしが閉まってとじこめられたようです。
便利屋さんたちも、猫たちがやっと見つかって大喜びで、大笑いでした。
そして、二人ともチップを受取らなかっただけでなく、わざわざ次の日にモンスーンの応援にショーを見にきてくれたのです。

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